「好奇心、ワニを殺す」

 人にはそれぞれやり口というものがあって、
他人がそれに口をだしていい結果が出ること
は、まずない。
 人よりは多少、高級に出来ているワニにつ
いてもその辺は大差なく、ゆえに、俺は耳元
でぎゃいぎゃいと五月蝿いクライアントに忠
告することにした。
 「だまれ」
 「でも、ですね。ミスター・B・J。せっ
かく手がかりが見つかったのに、四龍街から
出ちゃってどうするんですか。」
 「・・・お前さん、俺をなんだと思ってるんだ」
 「え?・・・ワニ・・・ですよね」
 「ほう、お前さん、わざわざ地球からアス
テロイドのふざけたコロニーくんだりまで、
ワニ見物に来たってのかい」
 「・・・・・・あ・・・・・・そうでした。探偵さん・・・
で、いいんですよね?」
 俺は立ち止まって、ゴロワーズを2本、咥
える。
 「そこまでわかってて、これ以上説明しろ
ってんなら、一杯飲ませろよ。無駄な手続き
踏まされっと理性がささくれ立つんだ」
 「・・・・・・すみません。おごりますんで・・・」
 おれはゴロワーズを3本にふやして、それ
でも口のわりにはささやかな煙を吐き出す。
 「コロしのあったヤサにゃな、素人は入れ
ないんだよ。例え探偵でもな」
 「ミスター・B・Jでも、なんですか?」
 「俺の肩書きは探偵以外にゃ、古書協会会
員てのしかねぇぞ。しかも、もう6年は会費
を払ってない。教えてくれ。古本買いの趣味
がある奴は殺人現場に入っていいなんて決ま
りが地球にゃあったのか? だったら俺は来
年から会費をおさめてもいいんだぞ」
 「い、いえ・・・その、ミスター・B・J、
偉そうなんで、ついそういうのもありかなっ
て」
 俺は4本目のゴロワーズを咥えた。
 「で、でも、それじゃ、どうするんです?
{歌}の捜査、出来ないじゃないですか」
 「それについちゃ、今、お前さんが言った
ろ?」
 「え?」
 「俺はな、実は偉いんだとさ」
 俺はワニ仕様の携帯電話をとりだした。
 
         * 
 
 バッドドッグ・ズーフェイについて少しば
かり話しておこう。
 バッドドッグ{阿呆犬}・ズーフェイは俺
たちの身内でもとびきりの阿呆である。それ
が証拠に、奴はコロニー・ポリスなんぞに飼
われている。
 阿呆ゆえに正直で礼儀ただしいズーフェイ
は、なんでだか下水道にのたくる嘘吐きで礼
儀知らずのワニを尊敬してるらしく、(ほら、
阿呆だ)なにくれ、俺に情報を回してくれる。
 そのズーフェイに連絡をとった俺は、レー
テマンともども、コロ・ポリ近くの味気ない
コーヒースタンドに腰を下ろし、店がまえ以
上に味気ないコーヒーをすすっていた。
 レーテマンは始めてエロ雑誌を見る小学生
みたいなテンションで余計な質問を連発して
くる。
 まぁ珍しいことじゃない。今までに何度か
素人のクライアントと同行したことがあるが、
一人をのぞきゃ、皆同じ状態になった。
 連中にとっちゃ、リアルな探偵ごっこアト
ラクションなんだろう。リピーターになりた
がったやつは一人としていないがな。
 「わかりましたよ。ミスター・B・J、あ
なたは警察の人に影響力があるんですね?」
 俺の口に貼りついているゴロワーズは6本
になっていた。
 「ミスター・レーテマン、忠告しておくが
コロ・ポリを警察呼ばわりしちゃいけない。
どっちもを敵にまわす」
 コロニー・ポリスは一見、スペース・コロ
ニーにおける警察組織に見えはする。だが、
そもそもコロニーってのは大抵が、企業や何
らかの私的な団体によって運営されていて、
コロ・ポリはその一部所にすぎない。
 つまり、上部団体の営利目的に基づいての
活動しかしない。公共性なんざ、ハナっから
持ち合わせちゃいないのである。
 「・・・それじゃ、やっぱり警察と同じじゃ
ないですか」
 「じゃ、お前さん、豚に似てる女に、豚に
似てますねーとかいってみな。生涯の敵にな
ってくれるぜ。」
 コロ・ポリと警察の場合、どちらもが相手
こそが豚と思っているから両方同時に敵にま
わすことができるわけだ。
 「で、な、さらに言っておくが、俺はコロ
・ポリに対してケツのニキビほどの影響力も
持っちゃいない。そこの飼い犬が勝手に懐い
てくるだけだ」
 「はぁ、そうなんですか」
 レーテマンは要領を得ないなりに納得して
おくつもりらしい。安心しろよ。百聞に匹敵
する奴がすぐにやって来るから。
 「すみません。B・J。おまたせしました」
 ややあって、(ゴロワーズが7本になるく
らいだ)店の入り口からヘリウムを吸い込ん
だブルドッグみてぇな声がした。
 一見がやってきたらしい。俺は見向きもし
なかったが、レーテマンは一瞥をくれたらし
い。政治家の選挙演説の次くらいには無駄な
お喋りをやめ、ぽつりとつぶやいた。
 「犬?」
 必要にして十分なレーテマンの感想どうり
の物体がとことこと俺たちのテーブルに近づ
き、俺の対面、レーテマンの横にちょいとと
びのった。
 「い、犬なんですか」
 「ええ、犬なんです」
 レーテマンのマヌケな問いに、マヌケな犬、
バッドドッグ・ズーフェイはにこやかに答え
た。
 俺がワニである程度に、ズーフェイも外見
上犬なんだが、中身についちゃワニを名乗る
にはいささか温厚にすぎる俺に比べて、奴は
どこまでも犬コロである。でなきゃ、好きこ
のんで人類の中でも飛び切りの抜け作どもに
飼われたりするもんか。
「で、B・J、知りたいのは、四龍の老人
の強盗殺人の件でしたよね」
 ズーフェイは、出来そこないのカリントみ
たいな尻尾をぶんぶん振りながらファイルを
取り出している。
 見た目はジャック・デンプシーのきれいな
一発を顔面にもらったパグ犬そのものなんだ
が、人類よりはマシ程度のおツムは持ってい
るので、公用語くらいは操れる。
 「・・・ちょっと待てズーフェイ。強盗殺人
といったな? 事はそれで落ち着いたのかい
?」
 「はい。B・J。価値のありそうなものが
いくらか、現場から無くなってましたし、被
害者の銃痕も・・・」
 ズーフェイはファイルのスクリーンに仏の
ブロマイドを映してくれる。・・・つまらねぇ。
五龍の裏町のファンシーショップの死体写真
コーナーじゃ、まちがってもベスト30にゃ
はいれないだろう。
 「背中に2発、左脇に1発。焼痩がほとん
ど見られませんから、火薬銃じゃありません
ね。リニア・ガンでしょう」
 ウインナー・コーヒーを注文したズーフェ
イがクリームをベロベロなめながら解説する。
 「最初の1発は背中のほぼ中央。これで死
にきらなかったんで、あと2発かましたわけ
だ。多すぎず、少なすぎずってとこだな」
 ズーフェイの高説をいただくのにはある種
の苦痛をともなうので、解説は俺がひったく
った。一言ごとにコートに生クリームの染み
が増えるサービスが気にいらなかったレーテ
マンも、俺に向かってうんうんとうなづく。
 「あの・・・これで強盗殺人だって、なぜわか
るんですか?」
 「プロはケチだからな。人ひとりに3発は
使わない。恨みの線なら3発で済ませること
はまずない。
 されに貫通性の高いリニア・ガンは現場の
後かたずけが楽なんで、掃除のおばちゃんに
は好評だが、筋ものはあまり使わない。
 ただ、それこそ五龍の裏町にでも行きゃ、
幼稚園児だって買えるもんだから、一般的な
犯罪に使用される率は最も高い。
 コロ・ポリが強盗殺人の線で落ち着いたの
も妥当な見たてだと言っていいだろう」
 「さすがですねB・J。うちの鑑識が3週
間かかって出した結果を一目で」
 ズーフェイがうっとりと俺に視線を送って
くる。あのな、この場合、視線を送りつける
のはてめぇんとこの鑑識とやらの方だろう?
軽蔑でも嘲笑でも好きなものをトッピングし
てやんな。
 「まぁ、殺しの方は今んとこどうでもいい」
 「え? いいんですか?」
 レーテマンが意外そうに言う。
 「こっちの目的は捜し物だからな。これ以
上の関わりが見えないうちは余計なことに気
を取られないほうがいい」
 もっとも俺の経験からいうと、この手の余
計事が肝心な捜し物に噛みついてないなんて
ことはまずない。よって、嫌ごとはやって来
るまでは無視しておくにかぎる。今はただ、
平穏な我がビジネスを進めようじゃないか。
 「現場から無くなってた価値のありそうな
物ってののリストはあるかい?」
 「はい、・・・・・・ただ、被害者の老人、カン
マハド・ホプシス氏はここ10年ほど、一人
暮らしでして、身寄りもございません。
 元々有った物の申告も取りようがないんで、
このリストも、明らかに無くなったであろう
物のリストでしかありませんが」
 一人暮しで身寄りがない。・・・なるほどな。
 コロ・ポリが身を入れて捜査をする事件は
大別して2タイプに判れる。雇い主のコロニ
ー経営者の利害に関わる場合と、弁護屋と組
んで事件関係者から銭をしぼり取れる場合だ。
 一人身のじじいの強盗殺人はそのどちらで
もない。
 ズーフェイがファイルに映したリストも見
事にそう主張していた
 「普段の支払いに使っていたクレジット・
カード、パソコン一式、なんだ? 清朝の壷
ってのは?」
 「はい、ホプシス氏が以前勤めていた会社
が退社のおり、氏に贈った記念品だそうで、
鑑定書付きの逸品だそうです。・・・・・・もっと
も、氏が持っていた貴重品とはこれくらいの
物だそうで」
 リストの項目はそれで品切れだった。コロ
・ポリの勤勉な捜査官はそれだけあれば十分
と踏んだのだろう。一応、強盗殺人の面目は
立つ。
 「・・・・・・オルゴールってのはどうなった?
四龍じゃ、オルゴール殺人事件なんて通り名
まで出来てたが?」
 レーテマンが身を乗り出してくる。
 「はぁ、遺体がもたれかかっていたのがオ
ルゴールなんで、オルゴール殺人事件なんで
す。つまりオルゴールは問題のものも含めて
たくさん、現場に残ってます。」
 「たくさんなぁ。じいさん、オルゴールの
コレクターだったのかい?」
 「いえ、造るのが趣味だったようで」
 「ふん・・・」
 俺はレーテマンに目をむける。
 「とりあえずの目標は消失せずに済んだみ
てぇだが、行ってみるかい?」
 「・・・も、もちろんです」
 俺は再びズーフェイに向きなおった。奴は
犬なりにピンと背筋をのばし、カリントを振
って見せる。
 「はい。キーは持って来てます。まかせて
ください。B・J」
 ズーフェイはクリームをすっかり舐めきっ
たあとの手つかずのコーヒーを残し、床にと
びおりた。
 俺は後ほど、このテーブルを訪れて自分の
労働状況については余り幸せな感想を持たな
いであろうウェイトレスのねぇちゃんのため
に、心づけの一つもおいておくよう、レーテ
マンに指示をする。
 ズボンにまで飛んでいた生クリームの染み
をふき取っているレーテマンに異存はなかっ
た。
 
         *
 
 「ミスター・ズーフェイは本当にミスター
B・Jを尊敬してるんですね」
 「当然ですよ。ワニなのに直立してらっし
ゃるんですから」
 ・・・・・・ああ、すまない。何か言ったか?
実は四龍に向かう公営無人タクシーに載って
以来、聴覚には休暇を出していたんだ。理由
が判らないってんなら、あんたと話す時にも
聴覚に働いてほしくはないな。
  「あ、ここです。B・J」
 タクシーを降りていくらも歩かないうちに
ズーフェイが言った。聴覚に休暇の終わりを
言い渡して、俺は目の前の建物を見上げる。
 二階建て一棟が数件くっついた、古めかし
い外装の建売だ。若いころにそこそこ財をな
した老夫婦なんかがよく住みついている。
 下手に地球の閑静な別荘地に住むよりは、
下卑たアミューズメントパークの近くにでも
ヤサを構えたほうが、孫が遊びにくる回数が
増える、なんてぇのが不動産屋の売り文句ら
しいが、騒音と汚物の固まりみてぇなもんに
懐かれてなにが嬉しいんだか。
 カンマハド・ホプシスもおそらくはそんな
変態の類なんだろう。オーク材の立派な玄関
ドアに消しそこなった、ガキの落書きが残っ
ていた。
 「ぼくも初動捜査の時、一度入ってるんで
すよ。直接の担当じゃなかったんでそれっき
りですけどね」
 ズーフエィが俺に鍵を渡す。奴さんの身長
じゃ鍵穴に届かないからだ。
 「担当は誰なんだ?」
 「ヨッテンハイム捜査官長です」
 「忘れていい情報だな」
 ヨッテンハイムは実に有能なコロニー・ポ
リスである。欲望と服従心が強く、労働意欲
はどこまでがデコだか判らなくなった、てめ
ぇの毛髪より薄い。つまり、コロ・ポリにと
って、この事件はその程度のものでしかなか
ったわけだ。・・・・・・或いは、その程度にして
おくべき事件であった、かな。
 俺がドアを開けると、ズーフェイがスルリ
と家の中へ入りこむ。
 「大丈夫です。どうぞ」
 つくづくコロ・ポリとしちゃ無能な奴だ。
 俺はレーテマンを先に家に招き入れ、最後
にドアをくぐった。
 「ほう、・・・」
 ひとまわり、室内を見まわし、俺とレーテ
マンは異口同音に感嘆の声をあげる。
 玄関ホールとリビングを兼ねる室内にはそ
こここに大小様様な見なれない箱があり、壁
にはその相棒であるちいさな突起が無数にあ
る円盤が掛けられている。
 「これ、全部オルゴールですかね」
 「卸金にしちゃ使い勝手が悪いだろ?」
 俺は手近にあった一抱えほどの箱を開けて
みる。
 ゼンマイといくつかの歯車に加えて、歯列
矯正を派手に失敗した出っ歯のような金属板。
 俺も実物を見るのは始めてだが、オルゴー
ルってたつにちがいない。・・・・・・だが。
 「ホプシスてぇじじい、かなり不器用だっ
たんだな」
 「そうですね。これはこっち方面に無学な
私でもわかります」
 俺とはちがう機体を見ていたレーテマンが
同意する。
 ホプシスのオルゴールはどれもこれも小学
生の夏休みの工作としちゃほめてもいい、程
度の出来だった。これじゃ、少々思いやりの
ある強盗だって持ってっちゃくれないだろう。
 これじゃ、中の機械だってまともに動く保
証はないんだが、
 「さて、ミスター・レーテマン。この卸金
の中にお前さんの{歌}があるかどうかなん
だが・・・・・・やってみるかね?」  
 俺がオルゴールの肝となる金属版の一枚を
ひょいと持ちあげて尋ねると、レーテマンは
何かを飲みこむようにうなづいた。
 カンマハド・ホプシスは家具職人だったの
だろうか。だとすれば氏の人生は不幸であっ
たろうが、機械技師であったのなら、少なく
とも凡庸以上の人生は送れていたことだろう。
 ホプシス謹製のオルゴールは音に関しては
申し分のないものだった。もっとも、その物
量は人類、ワニ、犬ころの3種族の代表に、
ささやかな不幸を与えてくれはしたが。
 だいたい、音盤の数だけでも尋常じゃない
上に、そいつが14台あるどの機械に対応し
ているのかを合わせるだけで一苦労だった。
 俺はふと、ホプシスよ家具屋であれ、とか
いう呪詛を吐きだしたくなったくらいだ。
 「・・・ちがいます」
 ホプシス邸中をほっくりかえし、発掘した
音盤の最後の一枚を聞いたレーテマンが静か
につぶやく。
 「ありませんでしたか」
 ズーフェイが床にへたりこむ。
 「無かったか・・・・・・おい、ズーフェイ」
 俺は念のため、ズーフェイに最後の確認を
する。
 「もう、この家に音盤は無いんだな?」
 「はい。初動捜査の時にも一通りは調べて
ますから・・・そりゃ、とんでもない隠し場所な
んてのは想定してませんけど」
 「・・・・・・妙だな。あるはずなんだが」
 俺がソファーに沈みこみながら呟くと、元
々不景気な顔をさらに疲労で塗りたくったレ
ーテマンが苦笑混じりで応じる。
 「必ずここにあるって根拠もなかったじゃ
ないですか。私たちの得た情報はここにオル
ゴールがあるってことだけで・・・・・・」
 「そうじゃねぇ」
 俺は部屋の中央のテーブルに乗っかってい
る箱を指差す。
 「お前さんの{歌}についちゃ、たしかに
ここにある保証なんざ、かけらもない。
 俺が言ってるのは、その箱があるかぎり、
ここにあるべきはずの物が無いってことなん
だ」
 「はぁ?」
 レーテマンが力なくこちらに顔をむける。
 「なぁ、そんだけある音盤の再生に一度で
も、その箱を使った奴はいるかい?」
 俺の言葉にレーテマンが大きく瞬きをする。
どうやら意味は理解できたらしい。
 「B・J!」
 ズーフェイが上ずった声を上げる。
 「それですよ!! ホプシスがもたれて死
んでいたオルゴールは!!」
 「じゃ、ないかと思ってたよ」
 俺はソファーから重い腰をひきはがし、テ
ーブルの上の箱に近寄る。
 血痕が残る上部の蓋をあけてみても、ある
べきはずの場所に音盤はない。
 箱の下側に小さなプレートが見える。そこ
にはこうあった。
 {鳴らずの鐘・歌わずの鳥}
 
 口を開くものは誰もいなかった。何の変哲
もない強盗殺人の現場から、誰も知らない題
名のオルゴール音盤が消えていた。
 ド素人のレーテマンでもそれはわかったの
だろう。そして、己の頭の中で鳴り続ける例
の{歌}との、妙であるという点での符丁。
 場数はふんでる俺ですら、{歌}と消えた
音盤が無関係とは思えなかったのだから、無
言のレーテマンが何を考えているのかは疑う
余地もない。
 「B・J」
 レーテマンが口を開く。
 「まだ決まったわけじゃねぇ。{歌}と
ここにあったはずの音盤が・・・}
 「いえ、」
 レーテマンが手を上げて俺を制する。
 「鳴っています。今。私の中で」
 「・・・・・・{歌}か」
 俺は聞こえるはずもない{歌}に耳を傾け
るように、自然と口を閉じた。
 そして、沈黙は破られた。派手に砕ける窓
ガラスの音と、俺の後頭部に突き刺さった弾
丸の感触によって。