生いたち

鍛冶屋と火消しの間に誕まれたせいか、小さなころから怖がりのくせに火には耐性があったみたいで、四歳の時に町内のぼやを消し止め、評判になったほどです。(母親には思い切り殴られましたが)丁度そのころ、父がひいきにしてもらっているタヌマ様のお屋敷(といっても武家団地ですが)に上がり、タヌマの娘、フブキの遊び相手に任命されます。

えらいありがためーわくです。

たいていの子供はフブキのこのセリフで、このお嬢とは二度とかかわるまいと思うのですが、父から


母ちゃんは父ちゃんの人生暗いとこ無し理論には文句があるらしい。
……でも、そんな父ちゃんが大好きでもある。
ヒデリの家はかくも幸福である。おかげで娘はちと弱虫だが。

と、ポリアンナ理論みたいな教育を受けていたヒデリは逃げ損ないました。おまけに生来の気弱な性格がわざわいして、出会いから数時間後にはすっかりフブキの下僕と化していたのです。

さて、ヒデリがフブキの下僕になって数年、ヒデリが十歳になるころ、彼女らにいつの間にか三人目の仲間ができていました。くノ一? ツナミです。彼女は本っ〜当にいつの間にかそこにいたので、二人ともツナミといつ出会ったのか覚えていません。今だって二人がいると、いつの間にかそこにいて、二人が別れると自然と自分もどこかへ帰っていくのです。一度、どこに住んでいるのか後をつけてみたことがあるのですが、いつの間にか見失ってしまい、以後、なんとなく怖くなって同様のこころみはなされていません。


ツナミ消失地点。当然この後怖くなって帰りました。

ちなみにツナミの力はタイゲンに言わせりゃ、「ワシらとタメはれる」だそうです。

さて、フブキの決めた人生とは、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、忍者でした。

一応、火の扱いには他の子供より慣れていたヒデリは、火系の忍術の修行をしぶしぶはじめることとなります。(ハンゾーに如意発動をかけられた時、使ったヒデリファイアーは、一応仕掛けだけは持っていたのです。ただ、思い切りがないのと、怖いのとで、あれだけの威力で火を出すまでの油を含んだことがなかっただけです)


ヒデリファイアー。口に含んだ油に火をつけて吐き出す忍法。
一流の忍者なら高火力の油や液体爆薬などで術を行うが、ヒデリのはただの発火油。

それでも当たると熱いよ。

やがてハンゾーと出会うころには潜在的にはかなりの能力を持つに至りますが、残念ながら、性格がブレーキになって持てる力の1/3も使うことができません。本人も気弱な性格をなんとかしようとガンバっているみたいなんですが、ハンゾーはどうもそれについては別のことを考えているようで……。


まあ、わかる悩みではありますが、はたして彼女の悩みに答えは出るのでしょうか?
とにかく、ま、ガンバレ!